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2004/06/07

『電車男』考I-愛とリズムの物語-

 今話題の『電車男』に、今さらながらはまってます。むちゃくちゃ面白い。話そのものがとても感動もんなんですけど、感想掲示板とかを読んだり、この話題を取り上げるウェブログを読んだりすると、色々考えること、多いんですよね。
 今日は第1弾として「どーして『電車男』はこんなに共感を呼んでいるのか? それはこの物語には愛とリズムがあふれているからだ」ということをちょっと書いてみます。
(話のネタばれあります。純粋に物語に興味をお持ちの方は、以下を読まずにまっすぐ『電車男』の本サイトさんまで飛んでください。そして出来れば、いや必ず、『電車男』だけではなくて他の物語もじっくり読んでほしいと思います)

 『電車男』のあらすじを簡単に書くと、毒男と呼ばれる野暮でもてない独身ヲタさん達の一人「電車男」さんが、ある時、電車の中で乗客に絡む馬鹿酔っ払い爺ぃをとっちめて交番に突き出す。そのときの乗客の一人「エルメス」さんが彼にお礼の贈り物(HERMESのペアカップ)をしたことがきっかけで交際が始まり、その手のことに不慣れな「電車男」さんを助けるために2ちゃんねる「毒男」スレッドの住民達が知恵と力を尽くす……というものです。

 最初に読んで一番感動したのは「愛があるなぁ」ということ。「電車男」さんが勇気を振り絞って馬鹿酔っ払い爺ぃを成敗したのも愛。そのことに素直に感謝した「エルメス」さんが、「電車男」さんの素朴さに魅かれていくのも愛。そして何より、HERMESをエルメスと読むことも出来ないような天然のうぶさを持つ「電車男」さんに、色々言いつつも自分達の知識や経験を伝え、アドヴァイスしていく毒男・毒女さん達にも愛があります。
 皆、誰かのために在りたいんです。無意識でも。役に立つとかそーいうことじゃなしに。かけがえのない誰かになりたいんです。そーいう意味のあらゆる「愛」に、このエピソードはあふれている。

 もうひとつ、重要じゃないかと思うのは「リズム」です。リアルタイムでの緊迫したやり取りが目に浮かぶような書き込み群が、文章全体に気持ち良いリズムを作っている。「エルメス」さんとの電話を片手にあわてて投稿する「電車男」さん、それをはらはらしながら見守り、時に声をかけるスレの住人さん達……当時の息遣いさえ聞こえてしまいそうな臨場感が、ここにはあります。

 この話を映画化、あるいは出版化してほしいという声もある一方、「せっかくの皆の思いが汚されてしまう、そっとしておいてほしい」という意見も多く見かけます。僕自身は、映画とか小説に直すのは無理じゃないかと考えてます。だって住人さん達のレスがなかったら、物語の愛とリズムが壊されてしまうし、そうしたらそもそも物語自体が成立しなくなるからです。あと、筒井康隆のメタノヴェル同様、これをこのテイストのまま映像化するのはほとんど不可能だと思う。

 そんなわけで、スクロールする手が止まらない「電車男」なのですが、一番最初にも書いたように、ただ感動するだけじゃなくて色々考えさせられることもあったんですよ。明日以降はそこら辺について書ければ、と考えてます。
(この項続く)

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